2-12 記憶法上達のための3原則

連鎖法ペグ法を基本にすれば、
非常に広範囲な応用ができる。

いずれも、連想、連鎖法、ペグ法などを
うまく使えはよいのである。これは各自で工夫すること。
この使い方を考え出すことが、記憶する場合に重要なのである。
自分で考えた記憶法の方が記憶しやすいのは当然である。

記憶する際に注意することを述べておく。

@ はじめから完全に記憶するようにする。
10の事柄を覚えるなら、全部記憶しようとしなければいけない。
8つぐらい覚えればよいなどと思うと記憶できない。

A 記憶する際、その事柄をよく観察する。
よく観察しなければハッキリしたイメージを浮かべることができず、
連想がうまくいかない。

B 連想は変えてはいけない。
連想をした際、もっとよい連想はないかと考えてはいけない。
一度連想したら、それを使うこと。
そうでないと思い出すときに混乱する。

2-11 電話番号、スケジュールをペグ法で

アメリカの記憶法の大家であり、
プロバスケットのチャンピオンチームの
名選手としても有名なジェリー・ルーカスは、

ニューヨークのマンハッタン地区の電話帳
2・300ページを完全に記憶しているそうである。

これは約三万人分の電話番号である。
私たちは三万人もの電話番号を覚える必要はないが、
50人の電話番号を記憶しておくと
ビジネスにも日常生活にも大変役に立つ。

また、もう少し努力すれば200人ぐらいでも楽に記憶できる。

例えば、(666)4749という電話番号を覚えるには、
前項の方法で06,66,47.49と区切り、
その人物の顔→オーム→ムームー→砂→子宮、と連鎖させる。

個人ではなく、企業だったら、それを代表する社長の顔とか製品と電話番号を連鎖させる。

スケジュールも同様で、12月8日午後7時に、
山田さんと食事の約束があれば、
12,08,07と区切り、肘→親→インク→山田さんと食事、
連鎖させる。

父親の肩に肘をついて空中に浮いている→
インクビンの風呂に父親が入って歌を唄っている→
インクを飲みながら山田氏と会食、というように
イメージを浮かべる。

これらを複合させれば、一日のスケジュール
一週間のスケジュールも難なく記憶することができる。

自分で工夫しながら実行していけば自然に身についてくる。

2-10 ペグ・ワードで数字を覚える

数字の簡単な記憶法には
頭字法五十音変換法を利用する方法がある。

そもそも数字自体には何の意味もないので
長くなれはなるほど記憶はむずかしくなる。

ところが、
ビジネスや日常生活では数字が大きな意味を持つことがある。
数字を覚えることによって、話にも説得力が増してくる。

たとえは、
「当社においては、農機具は非常に重要な商品である」というより、
「当社においては農機具は総売上高の80%を占め、
昨年は十億円の売上げを達成した」という方が聞き手の理解も深まる。

さて、12567864という数を覚えるとする。
まず、1の位から上位にかけて2ケタずつ区切る。
そして区切った数に対応するペグ・ワードを探す。

ペグの体系表によれは、
12→肘、56→ゴム、78→質屋、64→虫なので
この4つを連鎖法でつなげる。

たとえば、背広の肘にゴム糊がペタッとっいている→
太いゴム紐で貿星が吊るされて上下している→
大きなコキブリが質屋からゾロゾロ出てくる。
と、イメージを措けば、数字は引き出されてくる。

このようにやれば、20ケタの数字でも
10個のペグ・ワードを連鎖させればよいことになる。

なお、区切る場合は下位の方からやること。
たとえば、5146532を二ケタずつ下位から
区切っていけは5が1つだけになるので、
05と考えてペグ・ワードを探す。

慣れてくれは、百位、万位、百万位、億位……等、
奇数個の数字から成る数の頭の数には0をつけ、
01〜09のペグ・ワードを用いることで記憶できるようになる。
この練習はペグ・ワード記憶と連鎖法の上達に大変役に立つ。

もっと上達してくれは、相手のデタラメに言った数字でも覚えられるようになる。よく縁日の大道で何十ケタもの数を覚えてみせる見世物があるが、タネはこの方法である。50ケタぐらいなら誰でも一週間の練習でやれるようになる。

2-9 ペグ・ワード体系の活用

本格的なペグの体系を紹介する。

これは、記憶すべき事柄を01から99までのペグの
キーワードにひっかけるという方法である。

01はワイン、86はハム、95は空港(クウコウ)というふうに
頭字法を利用したペグの体系を覚えなければならない。
01ならワイン、86ならハムと即座に絵が浮かぶようにする。
その上で、記憶すべき事柄連想する。

100個も覚えるのは大変なようだが、
顕字法で覚えるため、
2日から、長くとも1週間もあれば十分マスターできる。
そして実際に使っているうちに次第に完全なものになってくる。

五十音変換法を利用した体系もある。
1→ア行(アイウエオ)。2→力行(カキクケコ)
……0→ワ、ンとパ行、と変換していくやり方で、

たとえば24だと、2→力行、4→タ行で、
「キツネ」(変換するのは最初の2音だけ)。
56だと、5→ナ行、6→ハ行で「なべ」とペグの体系をつくる。

このペグワードの体系を覚えてしまえば
記憶の量は飛躍的に増大する。

本1冊の内容を覚えることもできる。
100個で多ければ00から19まで、20から39までと、
区切ることもできる。

2-8 ペグ法の応用範囲(演説、講演)

記憶法がもっとも古くから利用されているのは、
演説、挨拶、講義などである。
原稿を読みあげる挨拶などは
聴衆の心にうったえることがむずかしい。

演説などに記憶法を利用したのは、
ギリシャ・ローマ時代からで、
当時は便利な筆記用具がなかったので、
記憶法で覚えたのである。

雄弁家になるには記憶法が必要技術であった。

ギリシャのシモニデス(BC55年頃)など
古代の雄弁家たちは、どのような記憶法を使ったのだろうか、
これはペグ法とまったく同じである。

彼等は「場」と呼ぶ方法を用いた。
それは自分の家の部分(場)に
演説の要点を連想でつないでおくのである。

たとえば、
演説の最初の要点を、玄関に連想する。
二番目は応接間、三番目は応接間のイスにというように連想しておく。
演説するときに、自分の家の中を順に思い出していけは、
要点が思い出せるのである。

英語のin the first place(まず第一に)という慣用句は、
この「場」の記憶法に由来している。

この要点を連想するのは、連鎖法でもできるが、
ペグ法の方が使いやすい。

連鎖法だとどこか記憶しそこねると、あとがうまく続かなくなる。

そして、ペグ法だと話しているときに、
いま、全体のどの辺までかすぐわかるので、
時間によって、適当に飛ばしたり、
ある部分をくわしくというようにコントロールできる。

演説を記憶する場合、
逐語的に全部覚えようとすることは不必要である。
要点を順序よく覚えておけばよい。

もちろん原稿をつくることは大切である。
十分練り上げた原稿をつくり、何度か読み、
その要点を記憶しておけばよいのである。
あとは自分自身の言葉で話せばよい。

このように要点をペグ法で記憶しておくと
話すことに自信が持て、途中で脱線したり、
あがってつかえたりしなくなり、話が上手になる。
この要点はあまりこまかくてはいけない。
20ぐらいのペグで十分である。

はじめは15分ぐらいの話に
10ぐらいの要点で行なうように練習する。

15分の話というと原稿にして
400字の原稿用紙10枚前後であるから、
一枚一つのペグでよいのである。

話すだけでなく、話を聞く場合にも利用できる。
受講する場合などは要点をこまかく覚える必要がある。

話す場合の倍ぐらい必要である。
しかし、これも慣れれば、少しの要点ですむようになる。
また読書の場合にも役立つ。
読みながら、要点を次々とペグの体系にかけていく。

この習慣をつけていくと、
本の内容を丸ごと把握できるようになる。

だから、常に10から30ぐらいの項目が入れられる
ペグの体系をいくつか持っていると便利である。

しかも、それぞれの体系は重複しても使える。
それは、覚える主題と一番の項目を連想でつないでおけば、
同じペグの体系を何回も使えるからだ。

一度ペグの体系にある事項を入れたら、
別の事項は入れられないと思っている人があるが、
これは間違いである。

主題ごとに違った連想をしておけばよいのである。

2-7 ペグ法の応用範囲

職場で机に向かって書きものをしているとき、
電話がかかってくる。
無意識にボールペンを耳にはさんで
受話器を取って、相手と話し込む。やっと終わる。
さて続きをと思って、あたり中見まわしても、ポールペンは見つからない。

また、ポケットや机の引き出しの中に物を入れ、
いざ、必要になって探してもなかなか見つからない。

切符などを無意識にポケットに突っこむと、
改札口の前で全部のポケットを探さなければならない。
時間のムダはかりではなく、
イライラして気分的にも不快きわまりない。

かといって、切符を入れたポケットを
服の上からしょっちゅうさわって確かめながら
電車に乗っているというのでは、読書をしたり、
車窓の景色を楽しむどころではない。

先の例だと、ポールペンを耳にはさむとき、
ボールペンが耳の穴の奥に向かって
キリキリと進んでいるというような
ショッキングなイメージを思い浮かべると忘れない。

後の例だと、机の引き出しやポケットをペグにすればよい。

たとえは、l番を胸ポケット、
2番をエリ裏の小さなポケット、3番を上着の右、
4番を左、5番を右内、6番を左内、7番をズボンの前右………

とやれば10くらいのペグの体系ができる。
そして品物をポケットに入れたとき、
品物とポケットを連想でつないでおく。

このように日常に使うペグの体系をいくつも持っていると、
ちょっとしたことに活用できて便利である。
買物のリストなど、このポケットのペグを使うとよい。

2-6 ペグ法の応用

○ 身近なものにペグをつける

ペグ法の基本として、前に述べたように部屋に番号をつけたとする。これが記憶の掛けくぎ(ペグ)である。

たとえば、次の10の事柄を記憶する。

@飛行機、A本、Bミカン、C富士山、D盆踊り、Eジュース、F野球、G悲しみ、H新聞紙、I手紙

この10の事柄と前に番号をつけた場所をそれぞれ連想でつなぐのである。

連想の方法は前の章で述べたバカげた連想をするルールを使う。

(連想の例)
@入口の扉と飛行機…
…入口の扉にジャンボジェットがぶつかって炎上している。
Aくつぬぎと本…
…くつぬぎで本が靴をぬいでいる。
Bゲタ箱とミカン…
…ゲタ箱をあけると無数のミカンが飛び出す。
C植木鉢(花びん)と富士山…
…植木鉢に富士山が植えてある。
Dカレンダーと盆踊り…
…カレンダーが盆踊りをしている。
E洋ダンスとジュース…
…大きなコップに入ったジュースの中に氷の代りに洋ダンスが浮いている。
F押入れと野球…
…キャッチャーが押入れの扉をプロテクターとしている。
G額ぶちと悲しみ…
…領ぶちが自分の頭にぶつかり、大切な絵が破れ、悲しくて泣いている。
Hポスターと新聞紙…
…新聞紙がポスター代りに壁にはってある。
Iテレビと手紙…
…大きな封筒にスクリーンがついてテレビになっている。

以上のようにして連想して記憶すれば、
どのような順でも思い出すことができる。

練習は次のようにできる。紙に1から20まで番号を記入しておき、友人にいろいろな事を言ってもらい、それを記入してもらう。その間に連想して記憶する。

それから、番号をバラバラに言ってもらい、その事柄を言う。
当たったら、線を引いて消してもらう。

テレビのショーなどで行なっている記憶術
このペグの基本を使ったにすぎない。
20から30ぐらいの記憶だったら、
ペグの基本づくりと連想の練習を合わせても
1日か2日で演じられるようになる。

しかし、これはあくまでも基本の練習で記憶法の目的ではない。基本を活用することが重要なのである。

ペグの基本は自分の家はかりでなく、会社の事務室、自分のからだなど身近なものに番号をつけて覚えておくとよい。いろいろな基本を持っていると便利である。

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